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青春ものの小説ブログです

Over 2

洛山の寮の部屋で電話を切った赤司は、相部屋の同室の者に「少し出かけてきます」と声をかけて外に出た。夕刻、学生寮から出て裏山の裏道を上ると、視界が開ける場所がある。散策の場所に決めている地点だった。見降ろすと、京都の東山の街並みと東寺の五重…

Over 1

もう何年前になるだろう。桃井は昔のカレンダー手帖を見返す。今では開くことのないページ、高校のバスケット部のマネージャーをしていたころのもの。その手帖の高二の春休みの時に、空白がある。約一週間部の予定が書いていない日付。私が蒸発していた時。…

あとがき

一作だけのつもりが続いてしまった。他ジャンルのものも書いているので、自分でも黒バスにはまりすぎと思っているが、頭で考えていてできあがってしまったのでつい。まあこうして「転ぶ」ということになるのかと思っている。そんないい加減な私である。 今回…

緋色の領分 10

桃井は青峰と同じ桐皇に行くことになった。地元で進学しやすいところを選び、青峰と同じで親の安心する高校だった。赤司は京都の洛山高校に行くことになった。前任者の監督の白金監督が、その高校の監督になるというので行くという話だったが、選手の青田買…

緋色の領分 9

「これから先は、淘汰だな。それは内も外もだ。」 と、試合開始前に冷たい目をして赤司は言った。赤司の提案に緑間と黒子以外のメンバーは合点したようにうなずいた。 全中の夏の全国大会が始まった。帝光は「キセキの世代」の活躍で、向かうところ敵なしで…

緋色の領分 8

梅雨前線が北上していた。その日体育館では一日雨降りだった。室内での練習のみで、部員の数も三々五々だった。青峰がまた練習をさぼりでいなかった。赤司もドリブルなどの練習をしていたが、どうも調子が出ない様子だった。桃井はこういう日もある、と思っ…

緋色の領分 7

ダイニングバーでは高田晴美は赤司の前でいろいろとしゃべった。今では会社の愚痴も多かった。赤司はあいづちを打っているだけだった。そろそろアクセサリー化されてきている、と赤司も気づいていた。マスターは気づかわし気に言った。 「晴美ちゃん、そんな…

緋色の領分 6

緑間はその時体育館で一人だった。ふつうの練習のあとまだなんとなく居残りでシュートの練習をしていた。ふと、思った。 (この距離から投げて入るかな?) 入るはずはない、そう思った。試しに注意深く狙って打ってみた。 (入った。) 緑間は思わず括目した。…

緋色の領分 5

そのあと全中の全国大会があった。帝光は「キセキの世代」と呼びならわされている赤司ら二年生中心のスタメンを組み、見事二連覇の王冠に輝いた。青峰は相変わらず練習にはさぼりがちだった。虹村たち三年生は卒業し、彼らは三年生に進級した。桃井は全国大…

緋色の領分 4 

赤司が桃井の目の前で乗った車を運転していた女性は高田晴美と言い、はっきり言うと父征臣の愛人だった女性である。年齢はもちろんもう若くなくて、40代後半であるが、サングラスをかけていたのと、若作りなので桃井にはそう見えなかった。要するに大人び…

緋色の領分 3

黒子が一軍に昇格したのは、その年の秋口だった。赤司との練習と、自分で書店で買ったスポーツ関連の本を読んでミスディレクションの練習をし、また青峰と自主練習に励んだせいで、監督から一軍に入るように言われた。このころには後に退部してしまう灰崎も…

緋色の領分 2

赤司家は東京の閑静な住宅街の高台の一角にある。外壁はタイル貼の洋館風で、窓も高窓でヨーロッパ風だ。しかし明治時代に建てられた歴史的建築物ではなくて、戦後の70年代のころに建てられた家屋だ。従って内部構造は鉄筋造りの頑丈な建物である。質実剛…

緋色の領分 1

「わぁ、なにこれー。赤司くん、これ見てると目が回るよー。」 「うん、フレーザー・ウィルコックス錯視って言うんだ。ネットにもあるけどさ、これ紙に印刷しただけのものなんだよ。目の錯覚で動くんだ。」 「えーなにそれー。気持ちわるーい。」 帝光中学の…

笥(はこ)詰めの恋 10

桃井は今必死で体育館裏手に向かって駆けていた。こっそり選手控室を覗いたが、すでにもぬけの空だった。帰り客の人混みに押されて、前に進めない。「通してください!」人の対流とは逆方向に向かって彼女は進んだ。裏手に大型バスなどの留まるロータリーが…

あとがき

まさか私がスポーツ漫画の小説を書くとは思わなかった。大方の人もそう思っているだろう。人はなんのきっかけでどうなるかわからないものだ。たまたま「黒子のバスケ」をひょんなことから全巻セットを中古で購入してしまった。きっかけは同人がらみのいざこ…

笥(はこ)詰めの恋 9

第四クォーター前半、誠凛は追い上げていた。実渕らのシュート技術を次々と破られ、確実に点差は縮まってきていた。五将の働きにも陰りが見えはじめてきていて、赤司をたよる気持ちも少なくなってきていた。そんな中、赤司がふと口にした。「・・・絶対は僕…

笥(はこ)詰めの恋 8

第二クォーターがスタートした。リコは黒子を下げて水戸部を再び出すことにした。他に解決策はなかった。「絶対コートに戻ります。勝つために・・・!」黒子のくやしげなセリフに、リコは無言でタオルを渡した。洛山の選手のうち全員が化け物というわけじゃ…

笥(はこ)詰めの恋 7

桃井は決勝戦の前日の夕方、試合会場の体育館近くのDPE屋に入った。スマホを渡して、店主に言った。 「すみません、この写真、8枚ほど現像してもらえます?」 「今いるの?」 「はい、そうです。できればすぐに。」 「20分ほど時間はかかるよ。」 待っ…

笥(はこ)詰めの恋 6

第四クォーターが始まった。点差はいつの間にか秀徳は14点のビハインドになっていた。それも赤司の緑間へのほぼ完璧なマークのせいである。「ぐっ。」緑間は追い詰められていた。ボールを持つことすらできないのか。緑間のトリプルスレッドを赤司は次々と…

笥(はこ)詰めの恋 5

ウィンターカップが始まった。試合開始の当日、赤司は帝光時代の「キセキの世代」のメンバーを試合のあった体育館前に呼び出したりしたが、特に何かをしたかったわけではない。純粋に皆の顔を見たかった、ただそれだけだったが、このころになると赤司は自分…

笥(はこ)詰めの恋 4

一行が入ったのは、観光客でごったがえす駅ビルの南側にあるファミレスとスタバの中間のような店だった。地方によくある、スタバに似たような形式の店である。そこで皆アイスのものを頼むと、開口一番黄瀬が言った。 「このメンバーは中学一年の時の一軍のメ…

笥(はこ)詰めの恋 3

ちょうどそのころ赤司はまた黄瀬からのメールで変な話を耳にした。洛山の一年の部員に「エンペラー・アイ」なるものの使い手がいるという話があるというのだった。「それって赤司っちのことかな。赤司っちの目つきちょい怖いっち。インターハイでなんかあっ…

ガンダムW第一話改変案「少女の見た流星」

第一話 「少女の見た流星」 ○さまざまな宇宙コロニー群 ナレーション「地球から巣立った人類は、宇宙コロニーでの新たな希望を求めていた。 しかし地球圏統一連合は圧倒的な軍事力をもって各コロニーを制圧していった。連合に反発する一部のコロニー指導者ら…

笥(はこ)詰めの恋 2

洛山高校のバスケット部監督は白金監督という男で、最初一年生の赤司はふつうのレギュラーメンバーだった。レギュラーの部員にはのちの誠凛との決勝戦で組んだ根部谷永吉、葉山小太郎、実渕玲央がいた。彼らは全員二年生だった。赤司は親から離れて学生寮で…

笥(はこ)詰めの恋 1

洛山高校の物理の時間、教師から余談でシュレディンガーの猫の寓意の話を聞いたとき、赤司征十郎は自分のことだなと思った。その箱の中には猫が存在するという仮定で物を考える。しかし実際には見た者はいない。その猫はもう一人の自分だ。自分であって、自…

空の巻 あらすじ

仲間救出で秋吉台から鳴門海峡に向かった遼は、そこで水滸の毛利伸と再会する。伸は信の玉を持つ少年で、二人で魔将である那唖挫を退けることができた。伸は遼に好意を寄せているようで、遼に自分の昔の話をする。伸の父親はレジャー海難事故の救出活動で死…

天の巻 あらすじ

八十年代のはじめのある春、山梨県の甲府に住む中学生の真田遼は、仁という文字の入ったある不思議な水晶玉を拾った。夢で、その玉を通じて日本全国にいる自分と同じように玉を持つ、五人の仲間と話し合うようになった烈火である遼は、その仲間のひとりであ…

天空海闊 続

準備中です。 地の巻からはじめると思いますが、予定は未定です。